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現代美術は根源的に戦争に反対する。
ゆえに私は安全保障関連法案に反対する。

戦争は「私たち」と「敵」とに区分する。

脅威となる「敵」とはだれなのか。
無人爆撃機で標的となる「敵」とはいったい何者なのか。
戦争状態における「敵」とはどこから来たのか。
邪悪な者として、社会の外部に置かれる「敵」の正体はだれなのか。
芸術の想像力は「敵」へとむかう。

芸術の歴史は戦争を何度となく賛美してきた。
絶対的な命令に従ったからだけではない。
「戦争は美しい」と人類の滅亡を第一級の美的享楽とする欲望が人間には潜んでいる。
戦闘と殺戮に「生の躍動」を感じる不完全な生き物である人間は、戦争をスペクタクル化する。
暴力と死を実感させない「遠い国」の戦争がモニターに映る。
そこを離れれば「戦争は起こらなかった」かのような日常生活が続く。

一方で芸術は戦場で生じる各々の一回性の死を描いてきた。
殺人行為が人間の精神を根底から壊すことを伝えてきた。
何世代にもわたって未来を苦しめる記憶を表現してきた。
戦争に導く暴力と報復の感情を「詩的なテロリズム」に変換してきた。

戦争は「私たち」と「敵」とに区分する。

正義と邪悪の二分化の中で、国家の存立を脅かす「野蛮」を創り出す。
国民、文明、文化、人種、ジェンダー、経済、宗教による分断と差別と二項対立。
集団化した「私たち」は、検閲と自粛のシステムを自動化させる。
芸術の想像力は「私たち」へとむかう。

日本は、憎悪と憎しみと敵対性のただ中に分け入り、高度なネゴシエーションを実現させる中立国としての未来を有する。
積極的平和主義は、憲法9条を戦略的に駆使してこそなされる。
それが先の戦争の反省の上にたった歴史の必然ではないか。

破壊できない過去との契約がある。
ゆえに現代美術は根源的に戦争に反対する。

署名者一覧

有川 滋男
津田 道子
森 均
倉茂 なつ子
徳山 由香
櫻田 和也
田中 冬一郎
萩原留美子
安岐 理加
長内 綾子
増本 泰斗
井上 文雄
小金沢 智
宇多村 英恵
吉澤弥生
深江 淳
高野 学
フィンセント・ファンダール
原田 裕規
遠藤 絵美
近藤 昌美
成相 肇
白川 昌生
橋本 聡
齋木 克裕
谷邊 耕一
中島 佑太
明才
増山 士郎
田中 和人
田中 功起
椎木 静寧
中山 正樹
光藤 雄介
山本 浩貴
菅原 浩
内海 聖史
大塚 聡
藤田 直哉
奥村 雄樹
川口 珠生
友岡 洋平
藤井 龍
近藤 愛助
野崎 敦子
宮城 潤
本間 かおり
楊 俊
吉崎 和彦
川田 淳 
佐々木 健
砂入 博史
高井 ひろみ
波多野 康介
小泉 明郎
藤井 光
中島 智
小勝 禮子
小山田 徹
斎藤 啓司
白坂 ゆり
ほんださちよ
長倉 友紀子
Keiko Goto
折茂 水際
秋好 恩
清水恵美
八重樫 理彦

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